毛髪の成分|美容辞典
毛髪の成分「ケラチンタンパク質」
毛髪の80%~90%はケラチンというタンパク質でできています。
ケラチンに限らず、たんぱく質と呼ばれる物質は何種類かのアミノ酸という物が集ってできています。
自然に存在するたんぱく質から得られるアミノ酸は約21種類あり、これらのアミノ酸分子が互いに化学結合で繋がっているわけです。
しかし、約21種類すべてが揃っている訳ではありません。
13種類ぐらいでできている物もあれば、18種類くらいでできている物もあります。
ここでは毛髪の成分であるケラチンタンパク質が何種類のアミノ酸で構成されているかを見ていきましょう。
ケラチンタンパクを形成しているアミノ酸
アミノ酸名 | 組成(%) | PH | 種類 | |
---|---|---|---|---|
1 | グルタミン酸 | 13.9~14.2 | 3.2 | 酸性 |
2 | アスパラギン酸 | 3.9~7.7 | 2.8 | 酸性 |
3 | アラニン | 2.8 | 6.0 | 中性 |
4 | システィン(シスチン) | 16.6~18.0(0.5~0.8) | 5.0(5.1) | 中性 |
5 | グリシン | 4.1~4.2 | 6.1 | 中性 |
6 | イソロイシン | 4.8 | 5.9 | 中性 |
7 | ロイシン | 6.4~8.3 | 6 | 中性 |
8 | メチオニン | 0.7~1.0 | 5.7 | 中性 |
9 | フェニルアラニン | 2.4~3.6 | 5.5 | 中性 |
10 | プロリン | 4.3~9.6 | 6.3 | 中性 |
11 | スレオニン | 7.4~10.6 | 5.6 | 中性 |
12 | セリン | 4.3~9.6 | 5.7 | 中性 |
13 | トリプトファン | 0.4~1.3 | 5.9 | 中性 |
14 | チロジン | 2.2~3.0 | 5.7 | 中性 |
15 | バリン | 5.5~5.9 | 6.0 | 中性 |
16 | アルギニン | 8.9~10.8 | 10.8 | 塩基性 |
17 | ヒスチジン | 0.6~1.2 | 7.5 | 塩基性 |
18 | リジン | 1.9~3.1 | 9.7 | 塩基性 |
上記を見てもわかる通り、ケラチンには他のたんぱく質には全くないか、あっても微量のシスチン(システィン)というアミノ酸が比較的多く含まれます。
このシスチン(システィン)はケラチンの骨組みを丈夫にする大切な役割を果たしているのです。
NMF(天然保湿因子)
毛髪には 間充物質の他にN.M.Fと呼ばれる物質も含まれています。
N.M.Fとは、Natural Moisture Factor の頭文字をとった略称で、日本語にすれば天然保湿因子というものです。これはある種のアミノ酸や、核酸、或いは乳酸などの塩類の化合物で、毛髪中の水分を一定に保とうとする働きをしています。
皮質
毛髪の脂質には、皮脂腺から分泌された皮脂と、皮質細胞自身が持っている脂質とが含まれています。皮脂腺からの脂質は、後から毛髪に付着(一部は毛髪内部に浸透)したもので、毛髪本来の成分とはいえないかもしれません。
しかし、両脂質の区別は困難ですので、両者を一括して“毛髪の脂質”として扱っています。
微量元素
毛髪の色は、微量に含まれている金属の種類によっても異なるといわれています。すなわち、白髪にはニッケル、帯黄色毛にはチタン、赤毛には鉄・モリブデン、黒髪には銅・コバルト・鉄が多く含まれているといわれています。微量元素としては、これらの金属のほか、リン・ケイ素などの非金属を含め、30種類くらいの無機成分が報告されています。
水分
毛髪中の水分は皮膚と同様、重要な役割を持っています。しなやかさ、光沢、風合い、ひっぱた時の強度、静電気量など毛髪の機械的性質や美容上の特性に大きく影響しています。 毛髪には水分を吸収する性質があって、通常の状態の空気中では10~15%の水分を含んでいます。毛髪の損傷度が大きいほど、水分の保持力が弱くなり、水分量は少なくなるので、水分の量は毛髪損傷度の一つの目安となります。一般に水分量が10%以下になると乾燥毛といわれています。